〜誤解したまま関係を終えないために〜
1 はじめに
あなたは、人生の中で悩みや苦しみを抱え続け、絶望の足音が聞こえるような状況で、ファミリーコンステレーションと出逢い、希望のようなものを感じ取ったのかもしれません。
そのようなあなたに、ファミリーコンステレーションは話しかけます。
「あなたが悩みや苦しみから開放されたいと願うなら、見なくてはいけない事実があります。
しかし、その事実とは、あなたが最も見たくないものです。
私にできることは、それをあなたに見せ、絶望してもらうことです。
それでも構わないでしょうか。」
絶望しそうなあなたに絶望してもらう、という言葉に耳を疑ったかもしれませんし、いわゆる心理的なアプローチの一般常識とは全く違う内容で、理解が追いつかないかもしれません。いずれにしても、このメッセージを受け取ったタイミングで、多くの人は、ファミリーコンステレーションとの関係を終わりにします。
それでも、勇気を振り絞って
「それでも構わない。」
と言うあなたに、ファミリーコンステレーションは続けます。
「あなたは、ここを乗り切れば、望む未来が訪れるという期待を胸に勇気を振り絞って決断したのでしょう。
しかし、それでは私が伝えたことの意味が理解できていません。
先ず、今のあなたが想像する未来は、見たくないものを見たあなたが想像する未来とは異なる可能性があります。
ですから、今のあなたが望む未来を期待して勇気を振り絞っても、後にあるのは「こんなはずじゃなかった。こんなものは望んでいなかった。」というような失望です。
そして何よりも、これから絶望すると伝えているにも関わらず、未来を期待し勇気を振り絞るというのは矛盾していますね。
つまり、何の期待もせずに、見たくないものを見て絶望する。
それでも構わないでしょうか。」
何の期待もせずに、見たくないものを見て絶望することに、自ら申し込み、お金と時間を投資するという理解が困難な状況に、ここでもまた、多くの人が、ファミリーコンステレーションとの関係を終わりにします。
ここでも、
「それでも構わない」
と応えられるほど他に方法がなく、今の状態が続くことにも耐えられないという方に、ファミリーコンステレーションはあなたの人生の新たな視点となるでしょう。
現実では、ファミリーコンステレーションがあなたに話しかけることはありません。
あなたは勘違いしながらファミリーコンステレーションとの関係を築き、ある日、裏切られたような失望感とともに、ファミリーコンステレーションとの関係を終えるでしょう。
または、ファミリーコンステレーションを自分の理解の範囲内に収まるように変化させ、自分にとって都合の良いものとして関わり続けます。
私自身も長い間、ファミリーコンステレーションに期待し、誤解し、時に裏切られたような感覚を持ちました。
しかし、他に何の選択肢もなかった私は、諦めそうになる度に、「現状が変わらないのは、私が見たくないものを見ていないからだ」という考えに立ち返り、試行錯誤を続けた結果、ある日、「あぁ、ファミリーコンステレーションとはこういうことだったのか」という感覚を得ることができました。
その感覚は、言葉には表すことができないような、感動がありましたが、一方で、「可能ならもっと早く気が付きたかったなぁ」という思いも頭をよぎりました。もっと早く気がつくことができれば、これほど多く傷つかず、傷つけず、沢山のものを失わなくてすんだのかもしれないと。もちろん、それらの悩みや苦しみがあったからこそ、気がつくことができたこともまた事実なのですが。
そんな矛盾した思いのまま、当時の私に、そして、これからファミリーコンステレーションと出会う方や、今も誤解している方が、ファミリーコンステレーションとの関係を誤解したまま終えてしまわないように、ファミリーコンステレーションの入門書であり、変わることのない土台を、誰にでもわかる取扱説明書として書いていこうと思います。
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