ファミリーコンステレーションの取扱説明書
〜誤解したまま関係を終えないために〜
2 事前に理解すること
ファミリーコンステレーションが誤解されてしまう理由の一つに、前提となる知識や経験が人によって違うにも関わらず、ファミリーコンステレーションの説明や体験を行ってしまうことにあります。もちろん、体験してみなければわからない類のものですから、それ自体を否定するものではありません。
しかし、前章に書いたとおり、ファミリーコンステレーションは、いわゆる心理的なアプローチの常識とは全く違う内容です。その未知のもと言っても過言ではない理論や体験を理解するために、私たちは、過去の知識や経験を用いて、なんとか理解しようとします。すると、それぞれが独自の解釈をすることになり、いつの間にか、伝え手が意図したものとは違う、誤解されたファミリーコンステレーションが生まれるのです。
このような誤解を避けるためには、前提となる理論を共有することが重要です。
先ず初めに理解するのは、私たちの身体、特に迷走神経についてです。
迷走神経は、私たちの日常の出来事に対して、3種類の反射がおこります。
1つ目は、安心・安全を感じて、社会生活ができる状態。
2つ目は、身の危険や不安を感じて、戦ったり、逃げたりする準備、または、そうする状態。
3つ目は、危険や不安から逃げ切れないと悟り、感覚を麻痺させたり、記憶を喪失するなどの状態。
この反射は、私たちが危険を回避し、生き延びるための生存本能とも言える機能であり、必要不可欠なものです。
しかしこの機能が、今を生きる私たちにとって、悩みや苦しみの原因となっています。
なぜならば、身の危険や不安というのは人それぞれであり、何らかの影響によって、客観的に見ると身の危険や不安を感じるとは思われない状況でも、本人の意志とは関係なく機能が働くことがあるからです。
例えば、友人との会話の中で冗談っぽく「バカじゃない 笑」とイジられた時、話の流れに乗って笑いにすることができる人がいる一方で、突如としてムッとしたり、真剣に怒り出す人も稀にいるでしょう。客観的に見れば、怒る必要はない場面です。言った方は、本気でバカにしたわけではないし、相手のことを嫌っているわけでもありません。
しかし、そういった客観的事実とは関係なく、反射として怒ることによって、「友だちができない」「何を話していいのかわからない」などと悩みを抱えるわけです。
つまり、私たちが悩み苦しんでいる状態というのは、2つ目と3つ目の状態であり、そこから抜け出したいと、1つ目の状態を望んでいる状態と言えるわけですが、このような客観的に見て、身の危険や不安を感じる必要がない状況であっても、この反射が起きるのは、どのような影響があるのでしょうか。
例えば、今ある環境が非常にストレスフルであるという影響もあるでしょう。先天的な身体の問題や病気の影響かもしれません。もしかすると、砂糖の過剰摂取によるものや、食品添加物、電磁波などの影響もないとは言えません。霊的なものや、前世の影響などという可能性も。
私自身、ありとあらゆる可能性を考え、試行錯誤してきましたが、明らかに大きな影響を及ぼしていると見て取れたものが、本人が胎児から現在に至るまでの間に経験した、生命の危険や不安を感じた出来事でした。
【参考文献】
迷走神経の働きについては、以下の書籍を参考にしています。
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